メタボリックドミノとは?
メタボリックドミノとは、生活習慣の乱れから内臓脂肪型肥満になり、それを放置しておくとさらに深刻な状態になっていく生活習慣病の連鎖をドミノ倒しに見立てたものです。慶應義塾大学の伊藤裕教授により提唱されました。
連鎖するメタボドミノ
高糖質、高脂質な食生活や飲み過ぎ食べ過ぎ、喫煙など生活習慣の乱れが最初のドミノ。
この生活習慣の乱れが内臓脂肪型肥満を引き起こします。内臓脂肪型肥満は大きな2列めのドミノとなり、これからの悪い連鎖の引き金になります。
内臓脂肪型肥満は、3列目に並んでいる4つのドミノを一気に倒しにかかります。とはいえ、3列めのドミノはまだ病気という状態ではありません。健康診断で基準値を超えてしまい、血糖値高め、血圧高め、コレステロール高め、中性脂肪高め。注意喚起される状態です。
特定健診では、内臓脂肪型肥満に血糖、血圧、脂質(コレステロール・中性脂肪)のうちの2つの異常(基準値超え)が重なれば、メタボリックシンドローム(メタボリック症候群)と判断されます。3列目のドミノは実は2つ倒しても駄目なんです。
4列目に並ぶドミノは、もっと深刻になってきます。糖質高めから糖尿病へ、血圧高めから高血圧へ、脂質異常の人は動脈硬化が進んできます。脂肪肝になっているかもしれません。ついに病名のドミノを倒してしまうわけです。治療が必要になってきます。
5列目のドミノは脳卒中、心筋梗塞、心不全などの心血管系疾患となり、死の危険を伴う状態です。糖尿病のドミノが倒すのは、糖尿病網膜症(視力障害、失明)、糖尿病腎症、糖尿病神経障害などの合併症です。糖尿病腎症になると透析が必要になります。糖尿病神経障害になると、手足がしびれたり、負傷に気づかずえそを起こしたりしやすくなります。足を切断するケースもあります。
5列目のドミノを倒してしまったら、生活が全く変わってしまいます。治療費だってかさみます。このドミノは絶対に倒したくないものです。
メタボリックドミノを防ぐには
メタボリックドミノの連鎖を防ぐためには1列目、2列目を倒さないように生活習慣を改めることが有効です。内臓脂肪型肥満は、体重を5%ほど落とすことでかなり改善すると言われています。内臓脂肪は皮下脂肪に比べて落としやすいという特徴があります。
生活習慣としては高糖質、高脂質の食事を改め、ビタミンやミネラル、食物繊維が摂れる野菜をしっかり食べたり、お酒の飲み過ぎに注意したりしましょう。喫煙はドミノ倒しを加速させる要因のひとつです。禁煙するのがベストです。
運動不足も生活習慣病の原因になります。わざわざ運動をする時間をとれなくても、階段を使ったりなど日常生活での活動を増やすことも有効です。20分ほど多めに歩くなど、簡単にできることから始めれば大丈夫です。
健康診断で基準値より数値が高めになっていたら(ドミノ3列目)、すぐに生活習慣を改めて、それ以上のドミノを倒さないようにしましょう。この時点ならまだ一旦倒したドミノをもとに戻せるのです。
メタボリックドミノと歯周病
歯周病とメタボリック症候群は関係ないように思えますが、実は深い関係があります。歯周病は糖尿病の合併症と言われています。また歯周病は糖尿病に悪影響を及ぼします。腫れた歯肉から血管内に歯周病菌が入り込み、死滅してもなおエンドトキシンとなって血糖値に悪い影響を与えるのだそうです。歯周病と糖尿病はお互いに悪影響を及ぼすドミノなのです。
メタボリックドミノ倒しにならないために
メタボリックドミノについての話題でした。ドミノ倒しにならないために、栄養バランスのとれた食事、適度な運動、睡眠、そしてどか食いなどにつながるストレスにも気をつけて健康的に暮らしたいですね。